便の色を毎日チェックすることで、健康状態を知るとともに、病気の早期発見や予防にも役立てることができます。また便の色だけでなく、便の臭いや形状、硬さなども、腸内環境の状態を推測する上で重要な要素となります。「お腹の状態は健康のバロメーター」と言われますが、腸内環境を把握することは、現在の健康状態を知る手掛かりとなるのです。
【腸内環境が便の色を決める】
腸内に生息する善玉菌や悪玉菌などの腸内細菌のバランスによって大きく変化します。便の色は腸内が酸性、アルカリ性のどちらかに傾くことにより変化し、腸内が善玉菌優勢の弱酸性の状態は、便の色は黄色に近づきます。逆に悪玉菌の多い状態は、腸内に腐敗物が作られ、アルカリ性に傾きます。アルカリ性に傾いた腸内環境では、便の色がどんどん黒ずんでいきます。便の色で腸内環境の状態を把握し、悪玉菌の繁殖を防ぐような食生活を送ることが大切です。

【悪玉菌、善玉菌、日和見菌(中間菌)の関係】
善玉菌と悪玉菌のバランス(腸内フローラ)が不安定になった時に勢力を伸ばすのが日和見菌(中間菌)です。日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のうち、優勢な菌と同じような働きをもつ性質があります。腸内フローラのバランスが崩れて悪玉菌が優勢になると、悪玉菌として働きはじめます。そのため善玉菌が優勢になるように常に腸内バランスを整える必要があります。
善玉菌は、健康維持や生命活動に必要な物質を産生し、ビフィズス菌や乳酸菌、納豆菌、酵母菌、麹菌がそれに当たります。またビタミンやホルモンの産生、消化吸収、脂質代謝、免疫の活性化、感染防御、腸の蠕動運動なども担っています。
悪玉菌は腸内で有害物質を作り、腸壁の細胞を長い年月をかけて傷つけていきます。それが続くと癌を引き起こしたり、肝臓を弱らせたりすることに繋がります。肝臓機能の低下によって解毒が間に合わなくなると、有害物質は身体中に回ってしまいます。これが生活習慣病や老化の原因となります。また悪玉菌は腸内をアルカリ性にするので、免疫機能を下げるような状態を招きます。さらに悪玉菌が優位に立つと、おならが臭くなったり便秘が起こります。つまり長い期間、悪玉菌が優勢の状態は、私たちの身体には多くの悪影響が及ぼされてしまうのです。
しかし、悪玉菌は決して不要な菌ではありません。それは善玉菌が悪玉菌と戦うことで、その効果を発揮してくれるからです。悪玉菌がゼロになればいいわけではなく、バランスが大切です。腸内だけに限らず、身体全体を健康に保つために大切なことは、善玉菌が優位に立つように腸内のバランスを整えることです。悪玉菌はいても、それ以上に善玉菌がいるという腸内環境を保つことが健康維持に繋がります。
【腸内環境を改善するために】
乳酸菌や食物繊維を多く含んだ食事の摂取、ストレスのかからないような生活スタイル、睡眠不足を防ぐ、適度な運動など、心身共に健康的な毎日を送ることが望ましいでしょう。
また、ヒトの健康に不可欠である「乳酸菌生産物質」を作るのは腸内細菌です。ヒトの腸内には100種類以上100兆個の腸内細菌が生息し、バランスを保っています。人間の細胞が60兆個ですから、ヒトを形成している細胞よりも多く、重量としても1kg以上もあります。それら腸内細菌のうち、善玉菌といわれるビフィズス菌などの細菌がつくる代謝産物が「乳酸菌生産物質」であり、ヒトの健康に必要不可欠な物質です。乳酸菌だけでなく「乳酸菌生産物質」の補完も腸内環境の改善には大変有効です。また善玉菌の餌になるオリゴ糖(バナナや大豆、アスパラ、タマネギ、ゴボウなど)が含まれている食材も積極的に摂り入れましょう。

ナチュラルクリニック代々木 ※クリニックニュース Vol.27 掲載記事








