私たちの身の周りには、有害な細菌やウイルスが数多く存在しています。また健康な人でも体の中では、毎日のようにガン細胞が生まれています。それでも健康を保っていられるのは、「免疫システム」のお陰です。細菌やウイルスが侵入したり、がん細胞が発生したことを感知したら、それを攻撃して死滅させ、体外に排出するシステムが働いているからです。その免疫システムを担っているのが血液中の白血球です。白血球にはマクロファージ、顆粒球、リンパ球に分類されます。マクロファージは異物が侵入すると急行し、異物を食べて分解します。顆粒球は、比較的大きい異物を丸のみするのが得意で、リンパ球は、小さい異物を捕えるのが得意です。リンパ球はリンパ節で眠って待機しているので、出動までに時間がかかりますが、接着分子を分泌して異物を捕えて処理します。怪我をした時にできる膿や、風邪をひいた時に出る鼻水は、異物を分解した白血球の死骸です。リンパ球は一度やっつけた敵を「抗原」として記憶し、2度目の侵入には素早く攻撃態勢に入ります。
さて、下のチェックリストを行ってみましょう。あなたがどんな病気にかかりやすいタイプかがわかります。桃色にチェックが多かった人は、ガン、動脈硬化、糖尿病などになりやすい「顆粒球」タイプ、青色にチェックが多かった人は、花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギー疾患になりやすい「リンパ球」タイプに分類されます。
健康な人の白血球はマクロファージ5%、顆粒球54~60%、リンパ球35~41%ですが、ストレスを感じたり緊張したりすると、白血球の中の顆粒球やリンパ球の割合が変動します。交感神経が優位になり過ぎると、顆粒球が増え、副交感神経が優位になり過ぎると、リンパ球が増えてしまいます。こうなると健康には良くない状態となります。
増えすぎた顆粒球は、自分の体を攻撃し、組織破壊を起こします。また顆粒球は死滅する時に活性酸素を出すため、ガンや胃潰瘍、糖尿病などの病気を引き起こす要因となるのです。リンパ球が増えすぎると、アレルギー疾患になりやすくなったり、血管が開き過ぎて低体温を招き、その結果、ガンになることもあるのです。
一番望ましいのは、顆粒球もリンパ球も増えすぎず、自律神経のバランスの整った生活を送ること、そのためには、自分の生活習慣や性格、食生活など「生き方の偏り」を見直すことが大切です。
自律神経のバランスを整えるには、適切な食事や運動、入浴、深呼吸などが挙げられます。免疫システムを強化するためには、顆粒球、リンパ球の働きは重要ですが、それらの細胞が効率良く作動するために、細胞自体の能力を上げることも重要です。
一つ一つの細胞に栄養素を送るためには、細胞膜を構成するリン脂質(レシチン)は欠かせない成分です。またいち早く情報をキャッチするためには、細胞の周りに存在する「糖鎖」も重要な働きを担っています。これらの栄養素をきちんと食事やサプリメントで補い続け、自律神経のバランスを図ることが、免疫システムを正常にし、病気から遠ざかる一番の近道となります。
ナチュラルクリニック代々木 ※クリニックニュースVol.19 掲載記事