クリニックニュース

2019.03.02更新

成人期のADHDとは?

こんにちは。看護師の上川合です。
幼児期~学童期のADHD(Attention deficit
hyperactivity disorder注意欠陥多動性障害)については
以前のブログに書かせて頂きました。
今回は、成人期のADHDについてまとめてみたいと思います。

大人のADHDといっても、大人になってから急に発症
するものではありません。
不注意、多動性、衝動性等の症状で子どもの頃からずっと
悩んでおり、それが成人になっても問題となるレベルで認識
されている状況が成人期のADHD です。

悩む会社員

多くの人は、どんな状況においても、自分なりの工夫や対策を
考えて行動していますが、ADHDの傾向がある場合、状況が
改善せず、うまく生活することができずに困ってしまったり、
さらには、その工夫や対策方法すらわからず、混乱してしまう
ケースがあります。

また、中には、子供の頃は目立たなかった傾向性が、就職・結婚・
育児などの環境の変化の中で負荷がかかり、対応しきれなく
なって表面化することもあります。

以前は、発達障害という分野が研究途上で確立されていなかっ
たため、近年になって大人のADHDとして認識される様になっ
てきた、という背景もあります。

 

成人期のADHDの診断は難しい...

広汎性発達障害の中からADHDを単純に診断するのは
簡単なことではありません。
成長の中で学習や経験などが加わり、診断や判別が難しく
なるケースが多くみられます。
日本と海外の診断基準にも違いがあり、未だに世界レベル
での診断の統一には至っていないのが現状です。

WHOが定めている疾患の統計分類、ICD-10では、ADHDは
多動性障害として解説されています。
アメリカでは、アメリカ精神医学会が1952年から用いている、
DSMという精神疾患の診断基準があり、成人のADHDの定義が
2013年改定のDSM-5の中で初めて追記されました。

一方、フランスの精神医学会は、アメリカのDMSに対抗して、
CFMTEAというシステムを用いています。DSMは、薬の処方を
メインに症状の軽減を目指すシステムですが、CFMTEAは、その
症状から心理的な原因を探ることが主となっています。
フランスでは、ADHDは生活環境などの影響によって、特徴的な
症状が出ていると考えられており、投薬ではなく、心理療法や環境
整備やカウンセリングによって治療することが多く、観察と治療に
長い期間をかけて診断を確定していきます。
そのため、結果として、フランスではADHDの発症率が低いのです。

日本は、アメリカのDSMに準じてADHDと診断されることが多く、
投薬中心の治療が行われています。

 深刻な診察

 

 成人のADHDの特徴は・・・

成人になるまでの成長の過程で、学習や経験など、様々な要素が
加わり、また、他の発達障害との関連からもADHDの症状やその
程度も様々です。ASD(Autism Spectrum Disorder自閉
スペクトラム症)に比べてADHDの有病率は高く、小児期で
は4~8%とASDのほぼ5倍以上と言われています。
多動性は成長につれて改善することが多い様ですが、それが
過度なおしゃべり等の形に移行することもありますし、不注意
や衝動性については成長期に対処する方法を会得していない
と、成人になっても問題を持ち越してしまうことがあります。

成人期の有病率は約3~5%で、ADHDの特性を持つ人を
含めるとその倍以上になると考えられ、日本にはADHD
の人が少なくとも300万人以上いると推測されています。 

重圧のしかかる
ADHDの特徴

 不注意 (気が散ってしまう)
・仕事などでケアレスミスをする
・忘れもの、なくしものが多い
・約束や期日を守れない、間に合わない
・時間管理が苦手
・仕事や作業を順序立てて行うことが苦手
・片付けるのが苦手

多動性 (じっとしていられない)
・ソワソワと落ち着かない感じ
・貧乏ゆすりなど、目的のない動き

衝動性 (思いついたらすぐ行動してしまう)
・思ったことをすぐに口にしてしまう
・衝動買いをしてしまう

この様な特徴は、子どもの頃からあったものの、大人に
なって、職場や家庭で責任が生じたり、社会の中で様々な
人と接する中で障害として気づかされることが多い様です。
また、子供の時は、保護者や教師がフォローしていたものが、
大人になって、そのサポートがなくなり、自分の言動に対
する評価が厳しくなってしまうということもよくみられます。

特に職場などでは、不注意のミスなどが重なり,「仕事が
できない」といったレッテルを貼られてしまうこともあり
ます。本人は、決して不真面目に仕事をしている訳ではない
のに、そのような状況になってしまうことを生きづらい、
と感じ、そのギャップに悩んでしまうケースが多いのです。

一般に、女性では「不注意」の症状が強く出る人が多く、
男性では「多動性」や「衝動性」の症状が強く出る人が多い
といわれています。また「多動性」は子どもの頃には目立つ
ものの、大人になるとおさまってくることあります。

症状の現れ方や強さにもかなり個人差があり、また、個々に自分
なりの対策や工夫を行ったり、環境によっても、生きづらさの程度
にも差があると考えられています。

次回は症状に対しての具体的な対策をみていきたいと思います。

看護師 上川合 史子

 

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