クリニックニュース

2026.08.20更新

 私たちは1分間に約数十回ほどの呼吸をして酸素を体内に摂り込み、生命を維持しています。酸素は体内を巡り、最終的には水素と結合して水となって体外に排出されます。しかし、酸素の一部は正常に水素と結合せずに不安定な状態で体内に残ります。これを「活性酸素」といいます。活性酸素は細胞膜を構成する脂質を酸化させて、一部は有害な過酸化脂質を生成します。この過酸化脂質が蓄積していくと、身体の細胞組織を傷つけたり、壊死させたり変異し、これが「病気」として発症する原因となるのです。

 活性酸素は抗酸化物質(活性酸素を消去する物質)によって中和されますが、様々な要因によって体内で活性酸素が大量発生することがあります。

【活性酸素の発生原因】

活性酸素

【抗酸化物質で活性酸素を食い止めよう】
 活性酸素の攻撃から身を守るためには「抗酸化物質」(スカベンジャー)が必要です。これは体内で作られる酵素と、体外から摂り入れる物質の2種類があります。下のグラフは抗酸化物質の一つであるSODの体内濃度と寿命をグラフにしたものです。この2つは比例しており、抗酸化物質が多いほど、長生きできると考えられます。

グラフ

 

【体内で作られる酵素】
 酵素とは、生体で起こる化学反応を触媒する物質です。食物を吸収されやすい物質に分解したり、エネルギーを生成する際に化学反応の組み合わせをコントロールします。その化学反応を起こすために、各器官では酵素が作られています。体内で作られる抗酸化物質も酵素の一種で、活性酸素と結び付いて無害の物質に変化させる働きがあります。

【体外から摂り入れる物質】
 抗酸化物質は、様々な栄養素にも含まれています。例えばビタミンC、ビタミンE、βカロチン、ビタミンB群、ミネラルなどが挙げられます。この他にもポリフェノール、コエンザイムQ10、カテキン、メラトニンなども活性酸素の酸化を抑える働きがあります。また抗酸化物質として体内で作られる酵素の原料はたんぱく質です。体内で作ることのできない必須アミノ酸は、日常の食事からバランス良く摂取する必要があります。また酵素の生成には、ミネラルも重要な役割を担います。銅、亜鉛、マンガンは抗酸化物質の酵素であるSOD成分です。

【抗酸化生活を送るために】
 抗酸化物質を摂取するには、普段の食事に気をつけながら、サプリメントを利用することが賢明です。ただし、どんなに良い栄養素を摂取しても、細胞間の情報伝達によるコミュニケーション無しでは、それを利用することが困難となります。むやみにサプリメントを大量に摂取するのではなく、細胞のアンテナである糖鎖(糖鎖栄養素)、栄養吸収の触媒になる細胞膜(リン脂質=レシチン)との並行摂取が、栄養摂取を円滑に進め、活性酸素に立ち向う抗酸化物質を効率良く生成し、健康の維持増進に役立つのです。

 ナチュラルクリニック代々木   ※クリニックニュース Vol.43 掲載記事

2026.08.10更新

 私たちの身体を構成する37兆個全ての細胞の細胞膜に、びっしりと付いている産毛のようなものが「糖鎖」。これは8種類の単糖が鎖状に連なり、その根本はたんぱく質や脂質と結合しています。糖鎖は様々な情報をキャッチし、異物や細菌、ウイルスを識別、排除する働きを持っています。また細胞間においてコミュニケーションを取りながら、免疫系、ホルモン系、神経系、内分泌系などをコントロールする「アンテナ」のような役割を果たしています。生命維持に欠かせない働きを担う糖鎖同士が、細胞膜表面で情報交換を行うことで、様々な生理作用を起こします。

 糖鎖は細胞1つの周囲に500~10万本存在し、短い糖鎖から長い糖鎖まで、組み合わせも様々で、私たちの体を構成している細胞が生命を支えるためには、糖鎖による機能が大変重要であることが、学術的な研究により判明しています。
 しかし現代人は、環境などの変化や化学物質の過剰摂取、ストレスなどの影響により、糖鎖の数が40%以上も減少しているのが事実です。この糖鎖の減少が、生活習慣病や難病発症などの原因とも言われています。つまり糖鎖の本数が増加すれば、これらの病気は克服できる可能性が高いということになり、糖鎖を構成する糖鎖栄養素の補完が必要不可欠です。

糖鎖

【糖鎖栄養素一覧】

糖鎖栄養素

 「糖鎖」の形成に必要な単糖は、食べ物から摂取することが可能です。しかし現在の食品に含まれる栄養素の激減や、食品添加物、農薬、化学肥料、環境汚染など、様々な条件が重なり合い、糖鎖の形成に必要である「糖鎖栄養素」をきちんと摂取することは困難であるのが現状です。また8種類の糖鎖栄養素のうち、比較的摂取しやすいのは「グルコース」と「ガラクトース」の2種類で、グルコースはグルテンとして炭水化物(穀物や芋類)に多く含まれ、ガラクトースはラクトースとして乳製品などから摂取できます。但し残りの6種類(マンノース、フコース、キシロース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルノイラミン酸)は、日常的に摂取する食品には余り含まれていません。これらの単糖は、主にグルコースを材料として体内で合成することが可能ですが、合成に際し様々な酵素が必要となります。残念ながら食品を含む環境の悪化や、過剰なストレスによって発生する活性酸素の影響で合成が伴わず、阻害されているのが現状です。従って、正常な糖鎖を形成するには、良質な8種類の糖鎖栄養素を含む栄養補助食品(サプリメント)を利用しながら、糖鎖の基盤である細胞膜の強化(K・リゾレシチン)を同時に行うことが賢明です。

 

 

【糖鎖の働き】
①免疫機能に必要な情報を得る
白血球は体の中に侵入してきたウイルスや細菌などから、常に命を守り続ける免疫細胞です。免疫細胞の糖鎖は、その先端が触れることで、侵入者が何者なのかを判別します。

②遺伝子修復に関与
免疫細胞間のコミュニケーションも糖鎖が担います。免疫細胞のT細胞は、異物から抗原を獲得し、その抗体を持ったキラーT細胞に作り変え、攻撃に向かいます。この作業は遺伝子を一旦バラバラにして必要な形に組換えますが、この一連の情報伝達も全て糖鎖を通して行われています。

③異物排除後の攻撃中止命令を出す
異物を排除したら攻撃中止となりますが、免疫細胞に情報が伝わらず、自分自身の正常な細胞を攻撃してしまうのがリュウマチ、アレルギー、アトピー、喘息、関節炎、糖尿病、甲状腺障害などの自己免疫疾患です。糖鎖に異常があり細胞間の情報交換不足が原因であることが判っています。

④Ⅱ型糖尿病でのホルモンレセプター
インスリン受容体の異常で、グルコースが細胞内に取り入れられず血糖値が高くなるⅡ型糖尿病は、ホルモン
レセプターである糖鎖が異常であることが伺えます。

⑤受精するときも糖鎖が関わる
精子は卵黄膜表面に突き出ている独特な糖鎖と結合することで、卵黄膜を突破し、受精することができます。

⑥脳内の情報処理も糖鎖が必要
情報は神経細胞の中を電気信号として伝わりますが、オリゴデンドロサイト(グリア細胞の一種)が絶縁体を作ることで、高速の情報伝達を実現します。この「髄鞘」と呼ばれる構造を作り出すのに糖鎖が必要です。


⑦糖鎖が肺気腫の直接の原因に
糖鎖生物学グループは、ある特定のタンパク質に結合する糖鎖が欠損すると、マウスが「肺気腫」を発症することを解明しました。( 2005年10月アメリカ科学アカデミー紀要に発表)。

※最近では「間質性肺炎」の機序に対して、糖鎖栄養素の補完が有効といった研究が発表されています。


⑧癌の転移に関わる
癌になると糖鎖の構造が変化し、正常な細胞間コミュニケーションが出来なくなってしまいます。癌化した糖鎖細胞は正常細胞とのコミュニケーションを絶ってがんを増やしていきます。また癌化した糖鎖は細胞からはがれやすくなり、血管に浸潤して転移します。

 

 ナチュラルクリニック代々木   ※クリニックニュース Vol.42 掲載記事


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