クリニックニュース

2020.08.29更新

自己肯定

  

 最近人づきあいが面倒くさい。朝起きると身体がだるくて、なかなか起き上がれない。病気ではないのに、何か変だなと感じることはありませんか? 自律神経の乱れや、ストレスにより同じような症状を感じることがありますが、それ以外にも「自己肯定感」が関与しているかもしれません。

 

 2019年に内閣府が行った「子ども・若者白書」調査によると、諸先進国と比べ日本の子供は「自己肯定感」が低く、欧米など6か国との比較では、最も低い結果となりました。調査対象は2018年11~12月に満13~29歳までの男女に実施したものです。

 この結果によると、「自分自身に満足している」が45.1%、「自分には長所があると感じている」が62.3%と、同時に実施した韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの回答と比較すると、もっとも低い実態にあったほか、2013年度の調査よりもさらに低下しており、日本人の若者たちの「自己肯定感」の低下が進んでいます。

 私たちは1日に6万回の思考を行っていますが、そのうちの約80%、約4万5000回が、ネガティブな思考と言われています。ネガティブな考えを持つことが悪いことではありません。ネガティブな思考は失敗や危険から遠ざけ、助けてくれる大切な信号です。しかし問題は、その信号を受けたときに自己肯定感が低い場合です。新しいことにチャレンジしようと思っても、「どうせまた失敗する」とすぐ行動にブレーキをかけてしまい、後ろ向きの判断で、行動が消極的になってしまいます。また対人関係においても自分や周囲に対するネガティブな感情が高まり、「自動思考の罠」という負のループに陥ってしまい、コミュニケーションを上手にとることが出来なくなります。

 

 

 ― 「自己肯定感」とは? ―

 自己肯定感「セルフエスティーム(self-esteem)」は「自己肯定感、自尊心、自尊感情、自己評価、自己有用感、自己重要感」と日本語訳されます。文字とおり「自己」を肯定・認める感覚です。必要以上に過大評価することでも、自意識過剰となることでもありません。自身の良い部分や悪い部分すべてを受け入れられている状態です。日本では、慎ましさや謙虚さを美徳としていますが、それと「自己肯定の低さ」とは異なります。自己肯定は、幼少期の周りからの言動が影響していると言われています。小さいころから親に褒められたことが無い人は、「自分には愛される資格がない」や、「ダメな人間なんだ」という思いが根底に根付いてしまいます。また、両親の仕事や家事を手伝うことで愛される機会多かった人は、「役に立たない自分は愛されない」「わがままを言ってはいけない」「自分のことは自分でしなくてはいけない」と自己犠牲の上に自分の価値を見出してしまうのです。

 


 

― 「自己肯定感」の低い人4つのタイプ ―

 また、自己肯定感の低い人の行動には特徴があり、様々なタイプがあります。

自己肯定感

 

{逃避タイプ}内にこもる行動派


・努力しない、本気を出さない
・無関心を装う
・気軽に味わえる楽しさを追求する
・いわゆる良い人を演じる

 自分にとって都合の悪いことには、興味がない反応を示します。一見、楽しさを追求している、気楽で良い人と見えることもありますが、無意識に本気を出して挫折することを回避しようとする心の動きによるものです。本気を出して壁にぶつかり、挫折することを避けているのです。

 

 

{あきらめタイプ}内にこもる受身派


・どうせ無理が口癖
・どうせ「自分なんて」と思ってしまう
・褒められるのが苦手
・人と比べて落ち込む

 失敗を過度に恐れ、自分の殻に閉じこもってしまうタイプです。人生においても、行動を起こす前からすでに諦めており、言い訳が思考を占領し、悲劇のヒロインに浸ってしまいます。他人を羨み、どうして自分はそうではないのかと思い、落ち込んでしまうのも、このタイプの特徴です。

 

 

{比較優位タイプ}外に求める行動派

・自慢話ばかりする
・よく人を批判する
・人にアドバイスしたがる
・強い自己顕示欲

 自分には価値があると思う願望が強く、それを確認する為に人と比較し、批判することで自分が優れていると認識したいタイプです。俗にいう「マウンティング」の傾向が強い人といえます。攻撃的で、自信過剰にも見えますが、その裏には「自己肯定感」の低さが潜んでいます。

 

{くださいタイプ}外に求める受身派

・いつも何か心配している
・人からの反応を過度に敏感になる
・過度に気を使う
・自分より他人を優先して頑張りすぎてしまう
・他人の影響を受けやすく、依存してしまう

 一見、自己犠牲により他者へ気持ちが向いているようですが、実はこのタイプの人は、自分に関心が向けられています。他者の目に、自分がどう映っているのか。どう思われているのかを過度に気にしています。人からの称賛や愛情、関心を得ることで、自分を認識しているのです。

 


 

 

 これらの特徴は、必ずしも単独で表れるわけではなく、複合的に表れることもあります。例えば過去のトラウマや劣等感により、自分で自分のことを前向きに評価できないとき、人は周囲から認められたいという承認欲求が強くなります。承認欲求は誰もが持っている欲求ですが、自己肯定感が低いままでは、自分で自分を認められないから心が満たされず、欠乏感によって他者からの評価ばかりを求めてしまいます。認められたい欲求がより強くなり、行動が依存的になってしまいます。
 
 発達障害や鬱病などの精神疾患の治療において、治療がなかなか進まない、もしくは改善傾向にあっても途中で行き詰まってしまう方は、自己肯定の低さが根底に潜んでいる可能性があります。逆に、発達障害や精神疾患により対人関係が上手に出来ないことが原因で、自己肯定が低くなるケースもあります。自己肯定感とは、人間が社会生活を送るうえで精神面を左右する、重要な役割を担うのです。

 

 ― 「自己肯定感」を高める為には ―

 自己肯定感を高めるには、まずは自分自身を認識することが大切です。普段の自身の行動や思考を振り返り、その根底にある自己肯定の低さを自覚することから始めてみましょう。自己肯定の低さからくる言動や思考だとういことを認識することで、客観的に自分自身を見つめることが出来るようになります。

では、自己肯定はどうすれば高めることが出来るのでしょうか。

 

自分の長所・短所を書き出す

日記

 自分の長所や短所を思いつくだけノートに書いてみましょう。また短所には、改善するにはどうすれば良いかを考え、行動に移してみましょう。

 

 
親切になりましょう

席を譲る

 電車の中で、お年寄りや妊婦さんを見かけたら、進んで席を譲りましょう。親切にすることで、人は幸せホルモン「オキシトシン」が分泌され、幸福感を得ることが出来ます。幸せな気持ちになれるほか、自分自身のことも好きになれます。

 

 
成功体験を積む

 「自己効力感」「自己信頼感」を高めるには、成功体験の積み重ねが有効です。大きな成功体験が必要なのではなく、小さくても、出来るだけ多くの成功体験を積み重ねましょう。

日記の代わりに、一日の中で自分が出来たことを書き出してみましょう。「朝、時間通りに一人で起きた」「今日の服装が素敵だと褒められた」「仕事に役立つ本を一冊読んだ」など、何でも良いのです。

 
ポジティブな言葉を選ぶ

 人に褒められたとき、「私なんて」と否定的な言葉ではなく、「ありがとうございます」とポジティブな言葉を口にしましょう。また相手に感謝の言葉を述べる際は、「すみません」ではなく「ありがとうございます」と言いましょう。
 

自己肯定の高い人と一緒にいる

 自分の周りに居る、自己肯定の高い人のそばに居ましょう。自己肯定の高い人と一緒に過ごすことで自然と言動や思考は似てきます。逆に、自己肯定の低い人と一緒に居ると、自分の考えや言動もネガティブになってしまいます。自分自身を変えるには、交友関係も見直すことも必要です。

成功

  
 自己肯定感は、小さい頃からの心の蓄積により構成されています。直ぐに考え方が変わるのは難しいですが、一つ一つの積み重ねが、必ず心の変化に繋がります。行動する前から諦めずに、自分を見つめなおし、実践してみましょう。

 


 

 

 

― 自己肯定感を支える「神経伝達物質」 ―

 

 自己肯定感のサポートに、心のコントロールが重要となります。私たちの感情は、「ノルアドレナリン」「ドーパミン」「セロトニン」の3つの神経伝達物質である(脳ホルモン)のバランスにより影響しています。脳内ホルモンの無数のやりとりの結果、人間の複雑な精神活動が可能となっています。これらの神経伝達物質を味方につけて、安定した精神状態を維持し、ましょう。

 

 

 

<ノルアドレナリン>

 

 神経を興奮させる神経伝達物質で、ストレスに対して怒りや不安などの感情に反応し「意欲、集中力、思考力」を高めます。しかし、不足すると「気力の低下、無関心」など抑うつ状態になりやすく、うつ病の原因にもなります。逆に過剰に分泌されると、イライラやキレやすくなるなど、躁状態を引き起こしやすくなります。

 

 

 

<ドーパミン>

 

 快感や喜びなどの感情に関係する神経伝達物質です。人の強い欲求には「快感を得たい欲求」がありますが、この「快感」を操っているのがドーパミンです。快楽・意欲・食欲・性欲・探求心・動機づけを司っており心地良さに加えて「意欲」も生み出します。過剰な分泌は幻覚・妄想を招くほか、満足感の喪失や、繰り返し過剰分泌されることでギャンブルやアルコール、薬物依存症を招きます。

 

 

 

<セロトニン>

 

 睡眠や体温調節、ホルモンの分泌を司る「セロトニン」ですが、精神の安定に大きく関与しています。セロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑えコントロールすることで精神的な安定をもたらします。セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、セロトニンが正しく分泌されることで心が安定し、幸福感が生まれます。不足するとノルアドレナリンやドーパミンの抑制力が弱まり、パニックや集中力や思考力の低下など、うつ状態に陥りやすくなります。

 

 

 


― 「セロトニン」と「自己肯定」 ―

 

 適切な量のセロトニンが分泌されれば、脳も適切に機能するということになります。セロトニンは脳内で神経から神経への情報の伝達をしています。セロトニン受容体を持つ細胞が広い範囲で存在することから、セロトニンの値が身体的機能とともに、心理的機能をも左右すると考えられています。

 

セロトニンの分泌が不均衡になる要因として、以下の原因が考えられます。

 

・セロトニンが十分に分泌されていない
・セロトニン受容体がセロトニンを十分にキャッチできていない
・セロトニンが受容体まで届いていない
・セロトニンの合成材料となるトリプトファン・必須アミノ酸の摂取量が不足している
 

 

 セロトニンの不足の身体的症状として、便秘・消化障害・光や痛みに過敏になる・糖質(炭水化物)の異常摂取・不眠症・片頭痛などです。精神的症状では、気分の落ち込みなどの鬱症状・認知機能の低下・意欲の減退・自己肯定感の低下などがあげられます。これらの症状が現れたら、セロトニン不足の可能性が考えられます。

 

 

 

~ セロトニンの不足を解消するにはどうすれば良いのでしょうか? ~

 

 

 

(セロトニンの材料を摂ろう)

 セロトニンの材料となるトリプトファンを積極的に摂取しましょう。トリプトファンは体内で合成できない必須アミノ酸の一つで、食事やサプリメントを使って毎日摂取する必要があります。また、セロトニンの生成には、トリプトファンの他、ビタミンB6や炭水化物もバランスよく摂取する必要があります。 
 

(カフェインを控えましょう)
 
カフェインを毎日摂取すると、おおよそ25~30%セロトニン受容体を増加させると言われます。これはセロトニンの増加でなく、カフェインによってセロトニンそのものが減少するため、少ない量でも情報をキャッチできるよう、 受容体のみが増加しているのです。セロトニンの不足を感じた時は、カフェインレスの飲料、もしくは、どうしてもコーヒーなどが飲みたいときは、セロトニンの材料となるトリプトファンを含む豆乳入りの、ソイラテがお勧めです。

 

 
 (セロトニンの生成を促そう)
 リズム運動やガムを噛む、ウォーキングなどで太陽の光を浴びることでセロトニン神経の活性化に繋がります。日光浴は30分程度、ウォーキングやスクワットなどのリズム運動は5分~30分程度、無理の無い範囲で行いましょう。

 

 
(オキシトシンの分泌によりセロトニンを活性させよう) 
 二つ目の幸せホルモンに「オキシトシン」というホルモンがあります。オキシトシンはマッサージやペットとのスキンシップ、ハグなどの抱きしめることで分泌されます。オキシトシンは別名「愛情ホルモン」とも呼ばれ、人が感じる「愛情」に関わっています。オキシトシンの分泌が増えると、脳内のセロトニンも比例して増え、セロトニンの活性を誘発してくれます。
ペットやパートナーが居ない時は、自分でマッサージしたり、自分で自分を抱きしめる(セルフハグ)がお勧めです。セルフハグの時は、自分に励ましや優しい言葉を掛けてあげましょう。
 

 

 

そのほか、脳内の記憶の関連付けを行う神経伝達物質「アセチルコリン」の摂取により、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンの分泌を調整し、脳内のホルモンバランスを整えてくれます。
 

★ナチュラルクリニック代々木★

 

 


2020.06.20更新

みなさん、お腹の調子はいかがでしょうか?
便秘や下痢、腹部膨満など、お腹のトラブルはいろいろありますが、
その中でも下痢はつらい症状ですよね。下痢が続くと栄養の吸収が
低下したり脱水になったりして体力を消耗してしまいます。また、
生活に支障が出たり、体力だけでなく、メンタルにまで負担がかかってしまうことも。

下痢が発症する原因に適した対処を行うことは、症状の悪化や
慢性化を防いでいく上でとても大切です。今回は、下痢がどうして起こるのか、
その原因についてまとめてみたいと思います。


消化管は、口から肛門までの、体の中で最も長い臓器です。体の外とも接していて、
侵入してくるウイルスや病原菌、化学物質などの異物から自分の身を守るため、
防御する働きや免疫力を備えています。

特に腸は、最大の免疫器官と言われ、体を守り異物と戦うリンパ球の多くが
集まっています。また、第二の脳とも言われ、独自の神経系によって各器官
と連携しながら、体をバランスよく維持するために必要な役割を果たしています。
ところが、その働きが低下したり、何かしらの原因によって腸内のバランスが崩れると
下痢を引き起こしてしまいます。
辛いちょう

下痢は、腸内の水分が過剰になり、便が液状またはそれに近い状態になることです。
通常の便の水分量は70%~80%ですが、80%~90%になると軟便、90%を超える
と水様便となり下痢になってしまいます。
下痢になると繰り返し起こる便意、腹部のけいれん、腸内ガスなどを伴うことが多く、
ウイルスや食中毒などによって引き起こされる下痢の場合は嘔吐や吐き気を伴います。

下痢の原因は・・・

下痢は大きく分けて急性と慢性に分かれます。

急性下痢(症状が1週間程度の一時的な下痢)
●ウイルス、細菌、寄生虫による感染
●食中毒、
●食べすぎや飲みすぎ、または普段食べない食材の摂取
●心身のストレス
●薬の副作用 など

慢性下痢(症状が1か月以上継続したり繰り返して起こる下痢)
●炎症性腸疾患(クローン病・SIBO等)
●過敏性腸症候群(IBS)
●消化管の機能低下による消化不良
●薬の副作用
●心身のストレス など

下痢を起こすメカニズム

下痢を引き起こす原因を、そのメカニズムによって分類すると
①腸運動性下痢 ②滲出性下痢 ③分泌性下痢 ④浸透圧性下痢 に分類できます。

大腸由来の下痢は滲出性、小腸由来の下痢は分泌性と浸透圧性です。

①腸運動性下痢

一般的によく起こる下痢のタイプです。腸の筋肉は、伸縮し、水分を吸収しながら、
ゆっくりと肛門まで便を送る「蠕動運動」を行っています。便は、ある程度の時間、大腸に
とどまることで固まりますが、蠕動運動の機能が低下し、大腸を速く通過してしまうと
固まらず、水様便になってしまいます。また、逆に蠕動運動が妨げられ、便が滞った
場合でも、増殖した腸内細菌が刺激して下痢を起こすことがあります。

暴飲暴食、糖質の多い食品や酸性の食品の摂りすぎ、カフェイン、冷え、ストレスなどに
よる自律神経との連動によるものが一般的な原因です。また、緩下剤やマグネシウムを
含む制酸薬やサプリメントの使用に起因することもあります。

病的要因としては、プロスタグランディンや甲状腺機能亢進症、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸
炎、過敏性腸症候群(IBS)など)、消化器の術後などが考えられます。
IBSは、20~30代と若年層に多く、男女比では女性の方が1.5倍程多いといわれていま
す。下痢と便秘両方の症状が診られますが、下痢症状は男性に多い様です。

うんどうせい げり

 


②滲出性下痢

腸管の粘膜に炎症や潰瘍が起こり、傷がつくと水分の吸収能力が低下し、炎症が
起こります。そして、腸管内へ粘液や体液などが分泌され、便の量と水分が増加して
下痢を起こします。
このタイプの病的要因としては、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、腸結核、
虚血性腸炎、細菌性腸炎(サルモネラ・ブドウ球菌など)、ウィルス性腸炎、リンパ腫や
がん、また、その治療などによる放射線性腸炎などが挙げられます。直腸の粘膜に炎症が
おこると、便の刺激で、より過敏になるため、排便の頻度が高くなり苦痛が増長されて
しまいます。

しんしゅつ げり2


③分泌性下痢

小腸と大腸から便の中に水分と塩分(塩化ナトリウムなど)が分泌されて起こります。
コレラやO157などの細菌がもつ毒素を腸内で検知すると、「セロトニン」というホル
モンが放出され、周りの細胞から大量の水分が出て下痢が起こります。

ウイルスや細菌の毒素、寄生虫などの他、下剤(ヒマシ油)や胆汁酸(小腸の部分切除術
の後など)、ポリープなどにより起こります。また、ゾリンジャー・エリソン症候群や
WDHA症候群、カルチノイド、ガストリノーマなどの腫瘍などでもホルモンの影響で
引き起こされることがあります。分泌性下痢では、大量の便が排泄されることが多く
みられます.
ぶんぴつ5


④浸透圧性下痢

腸から吸収されない浸透圧の高い食物や薬剤が原因で浸透圧が上昇し、水分と電解質
のバランスが崩れ、引き起こされる下痢です。
一部の豆類・果物や濃いジュース、ガム、お菓子、ダイエット食品などに含まれる砂糖の
代替品(マンニトール、ソルビトール、ヘキシトールなど)が主な原因です。
また、乳糖の分解酵素・ラクターゼの欠乏症の人が乳製品を摂ると乳糖が消化されず、
下痢が起こる乳糖不耐症もよく診られます。
また、中鎖脂肪酸(MCT)は、サラダ油や動物性油脂等の長鎖脂肪酸と比べて消化吸収が
非常に早く、小腸内の浸透圧が高まります。そのため、多量に摂ると、体内の水分が
腸粘膜から腸管の中にとりこまれ、腸内の水分量が多くなるため、下痢を引き起こ
すこともあります。

その他、抗生物質や貧血治療の鉄剤などの服薬でも腸内の正常な細菌叢が乱れ、下痢
となることもあります。誘引物質となる食物や薬剤を抜くと症状は改善していきます。

しんとうあつ げり

その他下痢をおこしやすい疾患

蛋白漏出性胃腸症
血液中に存在するタンパク質が消化管の方へ失われてしまい、低タンパク血症に
関わるさまざまな症状を起こす症候群です。

吸収不良症候群
小腸の粘膜に問題があり、栄養素の吸収が障害される症候群です。
グルテン腸症、乳糖不耐症、胆汁酸塩など。

など。


下痢という症状は同じでも、引き起こす原因は様々あるという事がわかります。
一過性のものか、繰り返されるものか、また、その人各々の体質や食習慣などでも
異なります。
ナチュラルクリニック代々木では、問診と毛髪検査により、下痢の原因を根本的に
探っていく治療を行っています。
お腹の調子がなかなか整わない方、ぜひご相談ください。

★ナチュラルクリニック代々木★


 

 

2020.04.17更新

【患者様へお願い ※当院は完全予約制です】
新型コロナウイルス(COVIT-19)感染拡大防止対策として、来院された患者様に以下の事項をお願いしております。
1. マスクの着用
2. 消毒用アルコールによる手指の消毒
3. 検温  ※37.5℃以上の場合には、念のため受診をお断りしております。また咳や風邪の症状がある方もお断りする場合があります。

また、来院された患者様に安心して診察を受けて頂けるよう、院内の受付及びカウンセリングルーム内に次亜塩素酸水による空気の除菌を行っております。また頻繁に院内の換気を行っております。
医師、スタッフは「マスクの着用、検温(午前と午後)、手指の消毒」を徹底しております。また消毒薬を用いた清掃を心掛けております。


【新型コロナウイルスについて】
当院では新型コロナウイルス(COVIT-19)の検査、診療は対応できません。
感染の疑いがある方や不安な方は、まずはお住まいの都道府県が公開している帰国者・接触者相談センターに連絡しましょう。

新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター一覧(厚生労働省HPより)

2019.12.17更新

カルシウムや栄養補完の定番として日本の学校給食でも採用されている牛乳ですが、近年、牛乳に対する見識が変わりつつあります。
その大きな要因として、「乳糖不耐」「カゼイン不耐」「ミルクパラドックス」が挙げられます。

~乳糖不耐~
 牛乳や乳製品に含まれる糖は「乳糖(ラクトース)」と呼ばれ、小腸より産生される「ラクターゼ」という酵素により分解されます。このラクターゼという酵素が不足することを「乳糖不耐」といいますが、消化不良により下痢、腹痛、膨満感などの症状を招きます。牛乳を飲むと下痢をする人は、この乳糖不耐の症状が強く反応しているからです。

腹痛

 赤ちゃんの時は皆、ラクターゼを産生していますが、乳児期を過ぎるとラクターゼの産生は減少し、失われて行きます。特に、黒人・スパニッシュ系で70%、アジア人では85%以上とも言われています。私たち日本人は、乳児期を過ぎるとラクトースを消化出来ず、消化不良を起こし易いということになります。一方で約85%の白人は、一生ラクターゼを産生し消化することが出来るので、北西欧系で牛乳や牛乳を用いた食品が多いのはこれらが影響しているのかもしれませんね。

ラクターゼ

ヨーグルトなどの発酵食品は、乳糖の一部が分解されると共に、乳酸菌により乳糖の分解を助けることから、未発酵の乳製品よりも若干症状は抑えられます。

 

~カゼイン不耐~
 牛乳に含まれるタンパク質の約80%を占めるカゼインですが、その種類は大きく分けて3種類のタンパク質に分類されます。

・α-casein(アルファカゼイン‥αs1、αs2 )
牛乳カゼインの約55%を占めています。人乳とヤギ乳には殆ど含まれていません。

・β- casein(ベータカゼイン)
牛乳カゼインの約15%を占めており、人乳に多く含まれています。

・κ- casein(カッパ―カゼイン)
牛乳カゼインの約30%を占めており、水溶性が高く、安定剤などの加工として使用されます。
この3種類のカゼインの中で人が消化できるカゼインは、主にβ-カゼインです。α-カゼインを多く含む牛乳は、私たち人間には消化できません。

 また、カゼインを頻繁に摂取すると腸内に未消化物が多くなり、腸の炎症を招きます。すると、下痢、便秘などの腸の症状を起こします。小腸の粘膜細胞は、有機物や未消化の栄養素を取り込まないように密着していますが、カゼインにより損傷、または緩んでしまうと腸に穴が開き、本来体内に入るべきでない物質が血液中に入り込んでしまいます。これを「リーキーガット症候群」と呼びます。更にα-カゼインは消化できないために、アレルゲンとなり、遅延型アレルギーの原因にもなります。

リーキーガット

 

 また、消化できなかったカゼインは、消化器系の酵素によりペプチドに分解されますが、その過程で未消化のタンパク質、カゾモルフィンが生成されます。このカゾモルフィンは、腸の炎症により出来た細胞の隙間から血液に流出し、血液脳関門を通過します。その後、脳神経細胞(シナプス)にあるオピオイド受容体に結合し、モルヒネなどの麻薬物質と似た作用をもたらします。カゾモルフィンは、聴覚や言語を司る側頭葉のオピオイド受容体と結合することにより、精神症状や神経障害を誘発すると言われています。

カゾモルフィン

 

~ミルクパラドックス~
 カルシウムは、体内で吸収されるようになるために、胃でイオン化されたあと、腸で吸収され栄養素として使われます。しかし、牛乳中のカルシウムの多くがα-カゼインと結合しているためイオン化せず、吸収されません。また、加熱殺菌することによりカルシウムは、リン酸カルシウム塩という物質に変化してしまい、吸収できなくなります。消化されないカゼインにより腸の中にタンパク質の構成成分である窒素の残留物が増加します。この窒素残留物が血液を酸性に傾けるため、それをホメオスタシスの原理によりアルカリ性に戻そうと働きます。アルカリ性に戻すため、骨からカルシウムを溶かし出し、血液中のカルシウムを増やそうとします。結果、牛乳を摂ることで、骨がもろくなっていく現象が生まれます。この作用を「ミルクパラドックス」と呼びます。

 

ホメオスタシス

 

 

その他にも、牛乳の危険性は指摘されています。

● 残留農薬
乳牛のエサ、特に輸入飼料などに含まれる残留農薬が牛の身体に蓄積され、殺虫剤や消毒剤が牛乳に含まれている可能性があります。

● 成長促進剤
乳牛の成長を早めるために、ホルモン剤を使うことがあります。牛乳を摂ることでそのホルモン剤を体内に取り込むことになり、私たちの体へ影響します。

● 抗生物質
劣悪な環境下で飼育されている牛は病気が発生し易いため、病気の予防に抗生物質が多く使用されています。

● 発がん性物質
乳牛には女性ホルモン(エストロゲン)が多く含まれ、乳癌・前立腺がんとの因果関係も指摘されています。また、高温殺菌により発癌物質の過酸化水素が発生します。

● 鉄不足
α-カゼインは、胃液と反応して凝固し、粘着力の強いタンパク質(乳餠)になります。これにより栄養素、特に鉄の吸収が阻害され鉄欠乏性貧血の一因となります。

● 不完全栄養食品
加熱殺菌することにより、酵素や善玉菌は死滅し、タンパク質の変性、ビタミン・ミネラルも壊れてしまっています。

● ホモジナイズ
脂肪の分離をふせぐため、高速撹拌や脂肪球を細かく均質化しますが、酸化し易くなるほか、トランス脂肪酸を生成し、動脈硬化や腎障害など血管の障害リスクを高めます。


 近年、自閉症や統合失調症の治療において、カゼインの除去により症状の改善が多く報告されています。また、不定愁訴とされる頭痛、腹痛、子宮トラブル、生殖器疾患、リウマチ、アレルギー性鼻炎など、様々な症状にもカゼインが大きく関与しています。学校給食の定番となって私たち日本人にはとても馴染みの深い牛乳ですが、知らずに「牛乳は健康に良い」という誤った思い込みが浸透しています。それは、多くの学校給食で提供され、身体によい、栄養豊富な飲み物だと子供の頃から指導されるからです。
偏った情報や思い込みではなく、様々な情報や見識を取り入れ、自分にとって必要か否か見直してみましょう。

 

★ナチュラルクリニック代々木★

 

2019.11.19更新

当院は栄養療法を中心としたクリニックであるため、
食事やサプリメントの摂取方法などをアドバイスします。

その際に、治療の大きなポイントとなるのが「腸内環境」です。
近年では、腸内環境の大切さを耳にすることが増えたと思いますが、
たくさんの患者さんを診ていると、いかに健康に密接に関わっているのかを感じる日々です。


・広汎性発達障害
・統合失調症
・自律神経失調症
・アレルギー症状 

上記の症状は当院で多い患者さんです。便秘や下痢の症状を抱えている方も多く、仮に排便はスムーズである方でも、毛髪検査をすると腸内環境を改善する必要がある方も多いのです。


毛髪検査や血液検査の結果が出た上で、より細かな指導を行いますが、現在の病気を克服するために、一時的に小麦やライ麦などの食品を控えることをお勧めします。最近では耳にすることが多い「グルテン」を含む食品を控えるということです。

今日はそのグルテンについてお伝えします。
ぱん

グルテンとは?
グルテンとは、小麦やライ麦に多く含まれるタンパク質です。小麦に水分を加えると、グリアジン系とグリニジン系のタンパク質がグルテンになります。パンを例に挙げると、あのモチモチとして弾力感のある美味しい食感がグルテンです。薄力粉、中力粉、強力粉の中でもパン作りに一番使われる強力粉にグルテンが多く含まれます。

 

なぜグルテンが問題なのか?
上記でお伝えしたように、グルテンはあのモチモチッとした食感をつくるものです。
グルテンの構成成分を見てみると、粘り気が強く、網目状に絡んでいるのが特徴です。
そのため、消化しづらく、消化出来なかった未消化物が腸を傷つけていることが多いのです。

ちょう

 

腸を傷つけると何が問題になるのか?

私たちが食べた物は、主に小腸で吸収されます。
小腸の粘膜には絨毛があり、絨毛には無数の突起(腸管)があり、そこから栄養素を吸収します。
また、小腸では体内に入ってきた菌や有害物質をブロックする役割を担っています。
小腸には体内に存在している免疫細胞の約7割が存在するほか、腸の免疫細胞が全身の粘膜に存在する免疫細胞に情報を伝える司令塔のような器官です。そのため腸管が傷つき、ぼろぼろになってしまうと、
そこから異物が侵入します。(リーキガット症候群)
その際、身体に存在する免疫細胞が間違えて働き、本来は攻撃する必要のないものを攻撃してしまい、
アレルギー反応や自己免疫疾患など様々な症状を招きます。

また、グルテン以外にも腸管を傷つける原因があります

・食品添加物(加工食品)
・精製された砂糖
・薬
・水道水
・農薬
・カフェイン飲料
・腸内環境の悪化
・カゼイン    など

 

またグルテンが体内で分解された物質は、精神障害に大きく影響を与えるとされています。

今までパンやパスタを多く食べていた方は「グルテンフリー」食材を摂り入れる事もお勧めですが、これらは血糖値の変動を招く糖質が使われていることもあるので注意が必要です。

毛髪検査 ではグルテン不耐症や、栄養素の過不足を調べ、その結果に併せて食事指導やサプリメントの提案をしています。お気軽にお問い合せください。



★ナチュラルクリニック代々木★

 

 

 

 

2019.08.27更新

認知症は、様々な要因により脳の働きが低下して社会生活に支障を
きたす「症状」で、正式な病名ではありません。
認知症を引き起こす原因として、脳の病変による一次的要因と脳以外の
身体的・精神的なストレスによる二次的要因があります。

一次的要因と二次的要因

一次的要因の主な病気として

・アルツハイマー病
・レビー小体型認知症
・血管性認知症
・前頭側頭型認知症
・脳腫瘍、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫
・交通外傷、脳挫傷
・クロイツフェルト・ヤコブ病
・ウェルニッケ脳症

等が挙げられます。 

はてねな夫婦

病気が引き起こす認知症の要因は様々で、完全にはわかっていませんが、
徐々にそのメカニズムが解明されつつあります。

アルツハイマー病患者の脳では、実は認知症の症状が現れる何十年も前か
らダメージが出始めるらしい、ということが最近明らかになってきました。

アルツハイマー型の認知症は、老人斑と神経原線維変化という2つの病変が
脳に現れることが判明しています。
老人斑は、アミロイドβと呼ばれる蛋白質が神経細胞の外に沈着したもので、
アルツハイマー型の認知症にのみ診られます。これが十数年経過する中で
神経細胞の内側に神経原線維変化が形成され、その結果、神経細胞や神経の
ネットワークが破壊され、認知症の症状が起こる、という説があります。

また、アルツハイマー病患者の脳では、健常者と比較するとリン脂質の量が
減少している、という研究がアメリカやカナダで発表され、注目される様に
なりました。細胞膜の形成に不可欠のリン脂質は、ヒトの体内でレシチン→
コリン→アセチルコリンと変化します。コリンは脳や神経組織の構成物質で、
脳機能維持に関与しており、アセチルコリンは、記憶と学習に関わる神経伝達
物質です。これらの原料であるリン脂質が不足する事で、記憶力の低下や脳の
老化が進行するのでは、とも考えられています。

また、高齢に伴い、栄養の吸収力も低下するため、脳に必要な栄養素が不足する
ことも考えられます。

二次的要因には、環境の変化や人間関係、不安や抑うつ状態、身体的症状等が
考えられます。病気になって入院したり、引っ越し、転居といった環境の変化で
認知症が現われたり、骨折や痛み、貧血など体の変調により認知症が進行してしまう
まうこともあります。定年退職や身内の死がきっかけになることも珍しくありません。


認知症の発症に繋がりやすい要因


誰しも認知症にならずに、健康寿命を延ばしていきたいものですよね。
年齢とともに脳の働きが低下するのは避けられないのかもしれませんが、それ
でも出来るだけの努力はしていきたいものです。

 

 認知表

日頃から健康に気をつけることは、認知症を予防する上でとても大切ですが、特に
二次的要因については、事態が深刻化しない様、日常の中で注視しながら早めに対策を立て
ることが発症を抑える最善の予防策と言えます。

 折り紙 万歳

 

★ナチュラルクリニック代々木★

 

2019.07.26更新

厚生労働省の調査では、認知症患者数は2015年で262万人、2020年には292万人、2025年には700万人を上回り、65歳以上の5人に1人が罹患すると推測されています。

このように、とても身近な病気である認知症ですが、種類別では、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性型認知症、前頭側前頭葉認知症の4つに分けられます。
初期段階の症状は、その種類により、物忘れや幻聴など異なりますが、最も多いのがアルツハイマー型認知症による物忘れです。 


しかし、物忘れは加齢によりどんな方でも起こるため、認知症の初期段階との区別がつきにくいのが実状です。
では一体、加齢による物忘れと認知症はどのように違うのでしょうか。
症状の進行具合なども併せてみていきましょう。

加齢と認知症の違い

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このような症状も進めば、家族や周りの方も、「あれ?おかしいかな?」と
判断しやすいですが、初期では区別がしにくいのが現状です。


また、認知症予備軍として、MCI(軽度認知障害)  があり、この時期の食事や生活習慣が、その後の認知症の発症リスクに影響します。
 
まずは、現在の症状が「①年齢による物忘れ ②認知症の初期症状 ③MCI(軽度認知障害)」なのかを知ることが大切です。
当院では、PRA毛髪検査とMCIスクーリング検査(血液検査)により認知症の可能性をチェックします。

検査方法や詳細については、お問い合わせ下さい。

★ナチュラルクリニック代々木★

 

2019.07.09更新

ADHDは治療しても治らないのか

ADHD(注意欠如多動症/注意欠如多動性障害)は,多動・衝動性・不注意が多く
みられる発達障害のひとつで、小児期の友達関係や学習能力、また、成人以降の仕事
などに支障をきたしてしまい、生きづらさに繋がってしまう、というものです。

ADHDの診断を受けている方、また、診断されていないが、その症状が当てはまる
方には、治療すれば治るのか、気になる所だと思います。
ADHDは、脳の機能が起因しており、治療で完治するというものではありません。
けれども、各々の症状に合わせた治療を行う事で、特異的な症状は目立ちにくく
なり、不安を抱えずに日常生活を送ることは十分可能になります。

透け脳

ADHDの治療法

ADHDの治療の代表的なものは以下の通りです。

 環境調整・・・・より集中でき、物事に取り組める生活環境を整える治療法

 認知行動療法・・・・考え方のクセや行動パターンを見直す事により、精神的
                           ストレスを軽減したり、問題解決を図るカウンセリング方法。
          個人やグループ形式で行う。

心理教育
 ADHDの症状や対処法について学び、自己理解を深める学習
自己報酬マネジメント
 行った行動に動機づけをしたり、ご褒美を与え、自身のやる気を
 出すための行動学習
スケジュール管理
 スケジュールを管理したり、やるべき事を期限内に行う習得のトレーニング
注意持続訓練
 やるべき事に注意が向き、持続させる練習
整理整頓
 書類や貴重品など、必要なものの管理方法や整理法の学習
感情コントロール
 怒りに対するアンガーコントロールや感情の扱い方、心理教育などの学習。

 SST(ソーシャルスキルトレーニング)・・・・周囲とどのような人間関係を築いて
                     いくのか、どのように話したり対応
                     すればよいかを具体的に学ぶ

④ ペアレント・トレーニング・・・・親が子に対して適切な対応をとることにより、
                子どもの生活しやすい行動が強化され、問題とな
                る行動を減らしていくことを目標としたプログラム。

 薬物療法・・・・ADHDの原因の一つに、脳内の神経伝達物質がスムーズに働いてない
        事が考えられています。現在、日本では、ADHDの治療薬として、神経
        伝達物質の伝達を助けるドーパミン(メチルフェニデート徐放剤)と
        ノルアドレナリン(アトモキセチン)があります。神経伝達物質のはた
        らきを活性化し、また、情報を受け取る後シナプスから情報が漏洩する
        のを阻害する事で、脳内の情報伝達を増やし、症状を改善する目的で
        処方されます。

基本的には環境調整や認知行動療法からスタートし、その上で、必要があれば症状の
改善や安定化を図るために薬物療法を併用するのが理想的ですが、日本では、心療内科
や精神科に受診した段階で薬剤を処方される事がほとんどです。
さらに、大人のADHDは、子どものADHDに比べて、認知され始めたのもここ20年
程であり、認知行動療法や環境調整を行う医療機関や携わる人員育成も普及しておらす、
薬物中心の治療が先行しているのが現実です。

 カウンセリング

世界の治療ガイドライン

海外でのADHDの治療法も、日本と同様にカウンセリング等の心理的
アプローチと薬物療法が主流です。
2019年の現時点で、
NICE(英国)/CADDRA(カナダ)/BAP(英国)/DGPPN(ドイツ)の
4つの機関がガイドラインを作成しています。

子どもに対しては、まずは薬物療法よりも家庭や学校などの生活環境を
整える環境調整や心理的、社会的アプローチを優先する事を各国が推奨して
います。大人の場合は、心理的なアプローチが先なのか、薬物療法優先なの
かは、まだ見解が統一されていない様です。心理的、社会的アプローチの方法
としては、心理教育や認知行動療法が各国のガイドラインでほぼ共通して
勧められています。

 世界こども

診断がつくと・・・

診断を受けた事で、教育や就労支援や仕事の機会において適切な環境を
整えてもらえたり、サービスを受けられたりするというプラス面もあります。
自分の努力不足だと自分を責めてしまったり、自尊心が下がってしまった方
にとっては、自分の特性を知る事で安心される方もいます。
逆に、診断を受けた事で自分自身にレッテルを貼ってしまったり、
診断が周囲に知られてしまうかもしれない、と心配や不安に繋がって
しまう人もいます。受け止め方もその人各々です。

ADHDは、その症状を自覚して、それを克服するための方法を各々が
身に着けていくことが、本質的な治療といえます。ADHDの薬物治療は、あく
までも患者さんが日常生活を不便なく送るための対症治療にすぎません。
また、長期服用は依存性を高め、副作用を引き起こす恐れがある事を知って
おかなくてはいけません。
ご本人が自分の特性をどう捉えるか、生活の中でどのようなサポートが
必要なのか等、多角的に判断する必要があります。

近年ではスマートフォンや電子手帳などでのスケジュール管理や、時間
管理を行える機能等、実践的に便利に活用できるものも増えてきました。

また、二次障害の治療が必要となる場合があります。不注意優勢タイプは
不安やうつの傾向が多くみられ、多動・衝動・優勢タイプは、好ましくない
行動や何らかの依存が強くなると考えられています。その場合、どこで悪循
環を断ち切るか検討し、二次障害の治療を優先して行う場合もあります。

周囲がADHDの困難に気づき、本人を不当に叱ったり、傷つけたりし
ないようにフォローしていく事がとても大切です。
また、本人の治療だけではなく家族のサポートもとても重要です。子どもの
ADHDの場合は特に、親が周囲との対応に追われて疲れ切っている事も多い
ため、心理的なサポートを行う必要があります。

グループ

 

ナチュラルクリニック代々木での取り組み

 ナチュラルクリニック代々木では、ADHD の栄養学的アプローチによる治療を
行っています。初診では、まずPRA毛髪検査を行って、障害の傾向性、脳機能の状態、
精神面におけるストレスの度合い電磁波の影響、栄養素の過不足等を確認します。
毛髪検査は、ご本人の毛髪を20本程度頂くだけの検査ですので、痛みや不安を
伴う事もありません。その上、通常の検査ではわからない未病傾向や精神状態、
栄養素不足の影響等も把握する事が出来ます。ですから、小さなお子様でも
安心して受けて頂く事が出来ます。

毛髪検査の結果から不足している栄養素を確認し、食生活を見直したり、
必要に応じてサプリメントにて栄養の補完を行います。
例えば、ADHDでドーパミンが不足した状態になると、物事を順序立てて行
えない、待つことができない、といった行動が現れやすくなりますが、神経伝達
物質であるアセチルコリンの材料となるKリゾレシチン(リン脂質)を補完
すると、ドーパミンの集積やアルファ波が発生しやすくなり、記憶力や集中力
が向上したり多幸感が現れる等、ストレスを軽減させ、気になる症状を軽減し
ていく事が可能になります。

また、発達障害の方の多くが腸内環境のバランスが崩れており、腸内で発生した
有害物質が血管から侵入し、体内をめぐって脳に届き、多大なダメージを与える
事が知られています。腸内環境に乱れがみられる場合は、食生活の改善とともに
乳酸菌や乳酸菌生産物質などを補完し、整えていく事も非常に重要です。

腸内環境を悪化させる要因に乳製品に含まれるカゼイン(タンパク質)や小麦に
含まれるグルテン(タンパク質)の影響も懸念されます。
カゼインが未消化のまま血中に入り、脳に到達して脳内の受容体と結合する事に
より、「カゾモルフィン」という麻薬様物質に変化する事がわかっています。
また、グルテンは、強い中毒性がある事が問題視されており、慢性的に摂取して
いるとグルテンの中の「グリアシン」という成分に過剰に反応し、腸内環境を悪化
させます。重度になるとセリアック病を発症し、腸からの栄養吸収が妨げられて
しまいます。
毛髪検査によって乳酸菌や腸内常在菌の状態、カゼインやグルテンの不耐傾向
も確認する事が出来ますので、結果次第ではこれらの対策も必要となります。

診断名がついた事で、自身をその枠の中に当てはめて悩んだり、自信を無く
してクリニックに受診される方がいらっしゃいますが、多かれ少なかれ、
誰しも考えのくせや不注意などの傾向はあるものです。ADHDの傾向性は決
してマイナス面ばかりでなく、物事を突き進めていくリーダーシップを
発揮したり、斬新なアイデアを生み出したり、と新しい道を切り開く能力も
十分に秘めているのです。
ですから、診断にとらわれ過ぎる事なく、まずは自身の特性を把握して、必要
に応じた対策を各々専門家と相談しながら実践される事が望ましいでしょう。
私たちもその一端を担っていけたら、と日々治療に携わっていますので、いつ
でもお気軽にナチュラルクリニック代々木までご相談ください。

仲間たち

★ナチュラルクリニック代々木★

 

 

 

 

2019.04.01更新

厚生労働省の調査によると、認知症患者数は2015年で262万人、2020年には292万人、2025年には700万人を上回り、65歳以上の5人に1人が罹患すると推測されています。


認知症は主に下記のタイプに分かれます。

・アルツハイマー型認知症
・脳血管性認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症    など

この中で、最も多いタイプはアルツハイマー型認知症です。
この原因はアミロイドβタンパクの蓄積(老人斑) やアセチルコリンの不足などと考えられていますが、認知症を発症する20年ほど前から、アミロイドβタンパクが脳内に蓄積されはじめていると考えられており、それに伴って脳細胞が損傷して神経伝達物質の分泌量が減少、脳の萎縮が引き起こされて、認知機能の低下につながると考えられています。
つまり、認知症を発症する20年前からすでに認知症予備軍は多く存在しているということになります。
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認知症予備軍のMCIとは?
MCI(Mild Congnitive Impairment:軽度認知障害)とは、健常者と認知症の中間にあたる段階(グレーゾーン)のことを指します。これは、認知機能に問題は出ているが、日常生活には支障がなく、自立した生活が送れている状態です。厚労省は2018年時点で、認知症とその予備軍とされるMCIの人口は、862万人存在するとし、これは65才以上の4人に1人の割合です。


MCI状態になっても必ずしも認知症になるわけではなく、2017年に国立長寿医療研究センターが行った検査によると、MCI患者を4年間追跡したところ、16%は認知症に進み、46%は正常に戻る結果が出ました。
そのため、認知症の発症をくい止めるには、MCIの状態で、本人や家族、周りの方が異変に気が付き、食生活の改善や運動習慣、認知トレーニングなどの生活習慣を励行することが大切です。


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認知症の検査方法には?
一般的に、認知症は医師による問診やMRIやCT、PETなどの脳の萎縮や血流分布の画像、認知機能テストの他、脳波などにより総合的に診断されます。
認知症の場合、画像検査では脳の萎縮が確認できるケースが多いですが、MCIの状態では萎縮まで進んでいないケースも多く、診断されにくいのが現実です。

また、脳波検査のみでは、認知症の診断は困難ですが、認知症の方の脳波はα波の徐波化、振幅低下、出現頻度の低下、不規則などが挙げられます。

さらにアルツハイマー型認知症と診断された方は脳波データの結果に類似点があるとされます。
そのため、ご自身の脳の活動状況を測定することにより、認知症の傾向性を解析できると考えられます。

当院では、PRA毛髪検査とMCIスクーリング検査(血液検査)を行っております。
その結果に併せ、生活状況に併せた食事やサプリメントを提案致します。
ご不明な点はお問い合わせください。

★ナチュラルクリニック代々木★

 

2019.03.02更新

成人期のADHDとは?

幼児期~学童期のADHD(Attention deficit
hyperactivity disorder注意欠陥多動性障害)については
以前にブログに掲載していますが、
今回は、成人期のADHDについてまとめてみたいと思います。

大人のADHDといっても、大人になってから急に発症
するものではありません。
不注意、多動性、衝動性等の症状で子どもの頃からずっと
悩んでおり、それが成人になっても問題となるレベルで認識
されている状況が成人期のADHD です。

悩む会社員

多くの人は、どんな状況においても、自分なりの工夫や対策を
考えて行動していますが、ADHDの傾向がある場合、状況が
改善せず、うまく生活することができずに困ってしまったり、
さらには、その工夫や対策方法すらわからず、混乱してしまう
ケースがあります。

また、中には、子供の頃は目立たなかった傾向性が、就職・結婚・
育児などの環境の変化の中で負荷がかかり、対応しきれなく
なって表面化することもあります。

以前は、発達障害という分野が研究途上で確立されていなかっ
たため、近年になって大人のADHDとして認識される様になっ
てきた、という背景もあります。

 

成人期のADHDの診断は難しい...

広汎性発達障害の中からADHDを単純に診断するのは
簡単なことではありません。
成長の中で学習や経験などが加わり、診断や判別が難しく
なるケースが多くみられます。
日本と海外の診断基準にも違いがあり、未だに世界レベル
での診断の統一には至っていないのが現状です。

WHOが定めている疾患の統計分類、ICD-10では、ADHDは
多動性障害として解説されています。
アメリカでは、アメリカ精神医学会が1952年から用いている、
DSMという精神疾患の診断基準があり、成人のADHDの定義が
2013年改定のDSM-5の中で初めて追記されました。

一方、フランスの精神医学会は、アメリカのDMSに対抗して、
CFMTEAというシステムを用いています。DSMは、薬の処方を
メインに症状の軽減を目指すシステムですが、CFMTEAは、その
症状から心理的な原因を探ることが主となっています。
フランスでは、ADHDは生活環境などの影響によって、特徴的な
症状が出ていると考えられており、投薬ではなく、心理療法や環境
整備やカウンセリングによって治療することが多く、観察と治療に
長い期間をかけて診断を確定していきます。
そのため、結果として、フランスではADHDの発症率が低いのです。

日本は、アメリカのDSMに準じてADHDと診断されることが多く、
投薬中心の治療が行われています。

 深刻な診察

 

 成人のADHDの特徴は・・・

成人になるまでの成長の過程で、学習や経験など、様々な要素が
加わり、また、他の発達障害との関連からもADHDの症状やその
程度も様々です。ASD(Autism Spectrum Disorder自閉
スペクトラム症)に比べてADHDの有病率は高く、小児期で
は4~8%とASDのほぼ5倍以上と言われています。
多動性は成長につれて改善することが多い様ですが、それが
過度なおしゃべり等の形に移行することもありますし、不注意
や衝動性については成長期に対処する方法を会得していない
と、成人になっても問題を持ち越してしまうことがあります。

成人期の有病率は約3~5%で、ADHDの特性を持つ人を
含めるとその倍以上になると考えられ、日本にはADHD
の人が少なくとも300万人以上いると推測されています。 

重圧のしかかる
ADHDの特徴

 不注意 (気が散ってしまう)
・仕事などでケアレスミスをする
・忘れもの、なくしものが多い
・約束や期日を守れない、間に合わない
・時間管理が苦手
・仕事や作業を順序立てて行うことが苦手
・片付けるのが苦手

多動性 (じっとしていられない)
・ソワソワと落ち着かない感じ
・貧乏ゆすりなど、目的のない動き

衝動性 (思いついたらすぐ行動してしまう)
・思ったことをすぐに口にしてしまう
・衝動買いをしてしまう

この様な特徴は、子どもの頃からあったものの、大人に
なって、職場や家庭で責任が生じたり、社会の中で様々な
人と接する中で障害として気づかされることが多い様です。
また、子供の時は、保護者や教師がフォローしていたものが、
大人になって、そのサポートがなくなり、自分の言動に対
する評価が厳しくなってしまうということもよくみられます。

特に職場などでは、不注意のミスなどが重なり,「仕事が
できない」といったレッテルを貼られてしまうこともあり
ます。本人は、決して不真面目に仕事をしている訳ではない
のに、そのような状況になってしまうことを生きづらい、
と感じ、そのギャップに悩んでしまうケースが多いのです。

一般に、女性では「不注意」の症状が強く出る人が多く、
男性では「多動性」や「衝動性」の症状が強く出る人が多い
といわれています。また「多動性」は子どもの頃には目立つ
ものの、大人になるとおさまってくることあります。

症状の現れ方や強さにもかなり個人差があり、また、個々に自分
なりの対策や工夫を行ったり、環境によっても、生きづらさの程度
にも差があると考えられています。

次回は症状に対しての具体的な対策をみていきたいと思います。

★ナチュラルクリニック代々木★

 

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