クリニックニュース

2019.08.27更新

認知症は、様々な要因により脳の働きが低下して社会生活に支障を
きたす「症状」で、正式な病名ではありません。
認知症を引き起こす原因として、脳の病変による一次的要因と脳以外の
身体的・精神的なストレスによる二次的要因があります。

一次的要因と二次的要因

一次的要因の主な病気として

・アルツハイマー病
・レビー小体型認知症
・血管性認知症
・前頭側頭型認知症
・脳腫瘍、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫
・交通外傷、脳挫傷
・クロイツフェルト・ヤコブ病
・ウェルニッケ脳症

等が挙げられます。 

はてねな夫婦

病気が引き起こす認知症の要因は様々で、完全にはわかっていませんが、
徐々にそのメカニズムが解明されつつあります。

アルツハイマー病患者の脳では、実は認知症の症状が現れる何十年も前か
らダメージが出始めるらしい、ということが最近明らかになってきました。

アルツハイマー型の認知症は、老人斑と神経原線維変化という2つの病変が
脳に現れることが判明しています。
老人斑は、アミロイドβと呼ばれる蛋白質が神経細胞の外に沈着したもので、
アルツハイマー型の認知症にのみ診られます。これが十数年経過する中で
神経細胞の内側に神経原線維変化が形成され、その結果、神経細胞や神経の
ネットワークが破壊され、認知症の症状が起こる、という説があります。

また、アルツハイマー病患者の脳では、健常者と比較するとリン脂質の量が
減少している、という研究がアメリカやカナダで発表され、注目される様に
なりました。細胞膜の形成に不可欠のリン脂質は、ヒトの体内でレシチン→
コリン→アセチルコリンと変化します。コリンは脳や神経組織の構成物質で、
脳機能維持に関与しており、アセチルコリンは、記憶と学習に関わる神経伝達
物質です。これらの原料であるリン脂質が不足する事で、記憶力の低下や脳の
老化が進行するのでは、とも考えられています。

また、高齢に伴い、栄養の吸収力も低下するため、脳に必要な栄養素が不足する
ことも考えられます。

二次的要因には、環境の変化や人間関係、不安や抑うつ状態、身体的症状等が
考えられます。病気になって入院したり、引っ越し、転居といった環境の変化で
認知症が現われたり、骨折や痛み、貧血など体の変調により認知症が進行してしまう
まうこともあります。定年退職や身内の死がきっかけになることも珍しくありません。


認知症の発症に繋がりやすい要因


誰しも認知症にならずに、健康寿命を延ばしていきたいものですよね。
年齢とともに脳の働きが低下するのは避けられないのかもしれませんが、それ
でも出来るだけの努力はしていきたいものです。

 

 認知表

日頃から健康に気をつけることは、認知症を予防する上でとても大切ですが、特に
二次的要因については、事態が深刻化しない様、日常の中で注視しながら早めに対策を立て
ることが発症を抑える最善の予防策と言えます。

 折り紙 万歳

 

看護師:上川合 史子

 

2019.08.09更新

 昨今、高齢者ドライバーの事故について多くの報道がされています。日本は高齢者社会に突入し、2018年10月1日現在、65歳以上の人口は総人口の27.3%となり、4人に1人となりました。これから更に増加する高齢者の運転免許についての不安が大きくなり、様々な議論が交わされています。
では本当に高齢者の自動車事故は、増加しているのでしょうか。統計では、65歳以上の高齢者による自動車事故は50年程前から、ほぼ横ばいと言われています。しかし、全体的な事故件数の減少に伴い、高齢者の事故発生率が上がっているという意見もみられます。しかし、実際に高齢者が事故を起こした時、社会の目は厳しいのが現状です。

事故車

高齢者ドライバーが事故を起こした際、認知症との関連が問われます。しかし認知症にも様々な分類があり、症状にも違いがあります。【認知症の原因別による症状の違いと運転行動の特徴】を記した興味深い一覧が「埼玉県福祉部」に掲載されていたので、ご紹介します。

 

認知症の原因別による症状の違いと運転行動の特徴運転行動

 

 これを見ると、認知症の種類によって、「アクセルとブレーキの踏み間違い」、「逆走」、「交差点への侵入」、「接触事故」など起こし易い傾向の違いが見られます。これらの事故は、必ずしも認知症状だけが原因ではありませんが、頻繁に運転行動に思い当たるケースがある方は、もしかしたらMCI(軽度認知障害)の可能性があるかもしれません。認知症を発症する前に専門の医療機関にて検査を受けてみましょう。

http://www.natural-c.com/blog/2019/04/natesas-1-671028.html

 

~認知機能検査~

 認知症の診断をされていない方でも、運転免許の更新期間が満了する日の年齢が、75歳以上のドライバーは、高齢者講習の前に認知機能検査を受けなければならないこととされています。その検査が「認知機能検査」です。では、認知機能検査とはどんな検査でしょう。
では、具体的にどんな検査なのか、見てみましょう。

 

1.時間の見当識


検査時における年月日、曜日、時間を答えます

 

時間の見当識

 

2.手がかり再生

【 1
4種類のイラストが描かれたボードが4枚提示され、検査員の説明を受けながら記憶をします。

 

例)
これは、大砲です。これはオルガンです。これは、耳です。これは、ラジオです。
この中に、楽器があります。それは何ですか? → オルガンですね。
この中に、電気製品があります。それは何ですか? → ラジオですね。
この中に、戦いの武器があります。それは何ですか? → 大砲ですね。
この中に、体の一部があります。それは何ですか? → 耳ですね。
(以後、同じ要領で全16種類のイラストの説明を聞く。)

 

手がかり再生

 

【 2 】
別の検査(介入課題)を行います。

沢山の数字が書かれた表に、指定された数字に斜線を引いていきます。

 

例)
「1」と「4」に斜線を引いて下さい。

介入問題

 

【 3 】
介入課題が終了したあとに、【 1 】で記憶をしたイラストをヒント無しで回答します。
(回答用紙に、先程ボードにどんな絵が描かれていたかを思い出しながら、できるだけ全部書くようにします。)

【 4 】
【 1 】で記憶したイラストをヒント有りで回答します。
(回答用紙には、イラストのヒントが書いてありますので、そのヒントを手がかりに回答する。)
ヒントの例:「戦いの武器」、「楽器」、「体の一部」、「電気製品」など・・


ヒントあり

 

3.時計描画

● まず、白紙の回答用紙に時計の文字盤を描きます。
● 次の指定された時刻(例:11時10分)を示す針を、その文字盤の上に描きます。

時計描写

検査終了後、採点が行われ、その点数に応じて、「記憶力・判断力が低くなっている方(認知症のおそれがある方)」、「記憶力・判断力が少し低くなっている方(認知機能が低下しているおそれがある方)」、「記憶力・判断力に心配のない方(認知機能が低下しているおそれがない方)」の3つの分類で判定が行われます。
検査から採点、結果の通知まで、30分程で終わります。
検査結果は、後日又はその場で書面(はがき等も含む。)で通知されます。
高齢者講習では、記憶力・判断力に合わせた、わかりやすい講習を行います。特に、車を運転するときには、検査の結果に基づいて、助言をしたり、その後、運転時の映像に基づいて個人指導を行ったりします。

検査の結果、「記憶力・判断力が低くなっている」との結果であった場合は、警察から連絡があり、臨時適性検査(専門医による診断)を受け、又は医師の診断書を提出することになります。認知症であると診断された場合には、聴聞等の手続の上で運転免許が取り消され、又は停止されます。

 

免許返納

本当に必要なのは、運転技能検査にて認知症の有無を調べる事ではなく、60歳を過ぎたら、定期的な健診として脳機能の状態を把握する事が大切です。発症してからの治療は今の医療において難しい課題となっています。しかし、脳機能の低下が見られた時点で改善を試みる事が、認知症の発症を抑制、もしくは遅らせる方法ではないでしょうか。幾つになっても健康な身体と心、そして脳を維持してこそ、ご自身とご家族の幸せに繋がると思います。

http://www.natural-c.com/blog/2019/04/natesas-1-671028.html

 

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